ナバストライキ

現在午前2時50分…

朝ナバ(椎茸)を採りに出かけ、昼から広げて乾燥機にかけ、現在も燃料の焚き物をくべるべく起きております。これが会社だと、もうすぐで20時間勤務になります…

でも今回出来上がった乾燥しいたけを売ってお金にしても、今の市場価格じゃこの20時間分の人件費さえでるのか怪しいです。

2年前原木を倒し植菌し、山で寝かせ、ようやく収穫できるここに来るまでの費用を換算すると120%で赤字です。

原木を育てた15年を考えれば尚更のことです。

僕の周りの若い人間は「ナバ作るのやら絶対せん」と言います。
ええ、彼らが正しい。だって労力に対する収益が余りにも低すぎるんです。
冷静に、というか普通の感覚があればその言葉が出るのが正常です。


原木椎茸はクヌギという広葉樹を伐って、その木で椎茸を育てます。
山は手入れしないと荒れて行きます。

山が荒れると川が荒れます。

豊かな水が無ければ、豊かな田んぼも畑も街も海もありません。

美味しい魚、美味しい野菜・果物、美味しい肉もありません。

安心して眠れる街も穏やかな山があるからこそです。

原木椎茸は無理なく山の手入れをしていく林業の中の産業です。
クヌギの木は伐ってもまた切り株から新しい芽を出すので、コストを掛けて植林する必要が無いのです。(勿論それまでに植林してくれた先人のおかげでもあります)

山を循環させる産業だとも言えます。

山は循環することで、その機能を維持します。
生と死があって循環するのです。
木に置き換えると、伐ることは死の一つです。
木を伐る事で出た落ち葉や枝が堆肥となり、そして伐る事で出来た空間に新しい植物が宿り、新しい生が生まれ山を元気にして行きます。

山全部の木を伐らずに「生」を維持しているつもりでも、光が届かないその山には新しい命は誕生しません。
気がつくと死しか無い「死の山」になっているのです。


だから原木椎茸って社会的意義があると思っています。
原木椎茸栽培はより良い暮らしの為になくてはならない産業だと思っています。
だからふんばってやっています。

でもいい加減安すぎます。
いい加減腹たちます。
椎茸栽培辞めろって言っているのだと思います。
「俺たち国産の原木椎茸なんか食いたくねー」と国民が言っているようにも思えます。
それぐらい卑屈になるような市場価格がここ数年続いています。


もういっそ、日本中の原木椎茸生産農家全員でストライキしたら良いんじゃないかと思います。
「お前たちが心入れ替えるまで売らない」って。

こんな事言うと「その間に中国産に乗っ取られる」とか言うんです。
いやいやもう乗っ取られているって。もう土俵から押し出されているのにいつまでうっちゃってんだって感じです。こんな時は開き直って、一回退場してまたどうどうと花道から入場してくるしかないんです。

ナバストライキしても意外と困らないかもしれません。
別に好きにすれば?と言うかもしれません。
その時はその時です。だってそれが国民の声なんだから。
農家が健気に頑張って国土保全する必要なんかないんです。馬鹿らしいですよホント。
ナバ作るしか出来ないって農家は菌床椎茸に移行しましょう。そして栄養剤添加しまくった椎茸をみんなに食べさせてあげましょう。それが食べたいみたいです日本人。

ナバストライキ、やってみても面白いかもな…



…なーーんて病みそうになる20時間勤務(笑)

ボーッとしていると火に吸い込まれそう…
ま、入り口に頭入んないけどね!!!w

あ、もうすぐ4時だ。焚き物ぶち込んで来ます!あ、嫁さんにじゃないからね。「俺の焚き物を…」とかそういうセクシャルなやつじゃないから、いや本当に。いやマジで。