『春の新作入荷しました』

良いですよね、このフレーズ。
イオンなんか歩くとこの貼り紙だらけで、春の新作に酔いそうになっちゃいます。
こんにちは、宮崎のイオンは全て制覇しております。

イオンハンター今西です。

 

さて毎年気になる春の新作と言ったらこれ。

 

そう、杉の苗ですね。

今年はどんな飫肥杉の苗が来るんだろ?ってドキドキしますよね。

 

今年も渡川の山に植える杉苗が届きました。

場所は田野町から。たぶんもともとは都城や三股の山にあった杉の枝から出来た苗だと思います。
品種はタノアカかな?

そうなんです、一口に飫肥杉と言っても18品種ありますからね、それぞれ違うんです。でもそこは今日はこの辺にしといて、この『苗伏せ』の作業をオンデマンドしたいと思います。

まず苗は25本×10束=250本でワンセットで届きます。

渡川弁になおすと、「25本丸かしが十(とお)でニヒャクゴジッポンじゃ」となります。

 

今日はおよそ3ha分きていますので、約7500本の杉苗が来ています。1ha=2500本計算ですね。これも地方によって違うので、奈良なんかになるももっと本数が多くなります。地形と気候と材質、生産技術や林業形態によって違ってきます。ま、ここも長くなるのでこの辺で。

 

ここからまず「コモ」と言われる杉の苗をくるんでいる、黒い化学繊維製の布を剥ぎます。昔は藁を編んで出来たものの事をコモと言っていたのですが、今は便利な化学繊維製となり、名残りでコモと言っています。

 

そしてまず根を切ります。

丸太の上で長すぎる根を切っておくんですね。

長いままだと植えにくいんです。植えにくいと効率も悪くなるし、作業が雑になって杉がつがらない(植えても枯れてしまう)んですね。
なので伸びた毛細根の部分をだけを切ります。でもこの後新しい白い根が出てきますからね、全く問題ないんです。

 

ビフォアアフターでするとこんな感じ。

右が根を切った後
右が根を切った後

ね、すっきりするでしょ。

「山に植えられる晴れ舞台前に、散髪しちゃった」という感じです。

 

そしてこれを山に植える前に仮植(かしょく)と言って仮伏せしておきます。

なんせ7500本ありますからね、来てすぐ植えてしまえる訳ではありません。

畑や田んぼで養生させながら植えられる日を待つのです。

 

この仮植もやはり山師の技があります。

仮植の間枯れないように、山に植えても元気で根をはるように、熟練の技術で伏せて行きます。

今日もベテランを呼び出し手伝って貰いました。

65歳過ぎてもまだまだ現役です。そしてやはり上手いですね。

 

こういう技術っていうのは作業としては簡単なんだけど、細かい配慮や道具の使い方っていうのはもの凄く繊細です。肉体労働なんだけどもの凄く知的。

 

これから山を守っていくためには若い人材が必要なんですが、その時に教える人材も勿論必要なんですよね。

先輩方にはまだまだ頑張ってもらって、また来年の春も手伝って欲しいなと思います。そして若い人材もどんどん入ってきて間に合って欲しいね、早くしないと冬物セール期間終わっちゃうからねw

 

木になる春の新作。

着るのを楽しみにしている渡川の山々です。